大学3年生の時、あなたからの「遠くに就職したい」の言葉にびっくりした。お母さんはあなたが近くに就職するとばかり思っていたから。
でも、考えてみたらそうだよね。あなたにはあなたのしたいことがあるんだから、「遠くに就職したい」と言ったのも全然おかしいことじゃないよね。
それからの就職活動、周りの友だちは次々に就職先が決まる中、あなたは就職が決まらなくてだんだん焦ってきたよね。食欲もなくなって、どんどん痩せていって心配だったけど、それを言うとあなたが辛くなるだろうから、何も言わないでそっと見守っていました。
あなたも周りに心配をかけたくないから、就職先が決まらなくても、笑顔でお母さんの前ではいてくれたよね。あれはお母さんに対する思いやりだったんだよね。ありがとう。
やっと就職内定をもらった時、2人で泣きながら喜んだよね。
あんなに泣き虫だったあなたがこんなに頑張る人に育っていたんだね。お母さんはそれがとても嬉しかったよ。
そしてその後、ゆっくり考えてみたら「これで本当にあなたと離れて暮らすんだな~」と思ったの。
思い出すのは、小さい頃のあなたや、反抗期のあなたでした。
中学生になったあなたに「私は反抗期なの。だからお母さん、私のことは構わないで。」と言われてショックだったんだよね。
小さい頃は弟を抱っこすると必ずあなたも「抱っこして!」と言ってきて、お母さんはあなたと弟を抱っことおんぶをして、よくお出かけしたよね。
初めての七五三で、あなたに着物を着せたら「こんな着物、着たくない!」って泣きながら言ってたよね。
お医者さんに連れて行ったら、「先生嫌い!先生のバカー!」ってお医者さんに叫んだこともあったよね。
2歳の頃のイヤイヤ期。ご飯を食べるのも嫌!靴下を履くのも嫌!服を着るのも嫌!ベビーカーに乗るのも嫌!車に乗るのも嫌!スプーンを持つのも嫌!お母さんが誘うことは全て嫌!だったよね。
何をいしてもイヤイヤばかりで、もうお母さんはお手上げで、あなたのイヤイヤに疲れてお母さんはあなたと一緒に泣いたっけ。
そしたらあなたが泣いているお母さんの頭を撫でてくれて「痛いの痛いの飛んでいけー」ってしてくれて、泣いてたお母さんはあなたのそのしぐさがかわいくておかしくて笑ってしまったことがあったよね。
その時は大変だったけど、その分あなたは成長したんだね。その分、人の優しさが分かる人になったんだね。
あなたのイヤイヤ期や反抗期が大変だったお陰で、お母さんは弟のイヤイヤ期や反抗期が来た時には「よし来た!どーんと来い!なんでも受け止めるよ!」と思えるようになったよ。これもあなたのお陰だね。
お陰で弟の反抗期は、どれだけ反抗していても「うーん、うちの子、順調に成長してるねー」なんて思えることも出来たよ。
今、あなたがイヤイヤ期や反抗期の頃にタイムマシーンで戻ったら、「イヤイヤ期、反抗期、どんと来い!お母さんが受け止めるから」って言えるよ。
あなたと暮らした月日は、お母さんをお母さんにしてくれた大切な日々でした。あなたを生まなければ出来なかった経験ばかりです。
感謝してもしきれないくらいたくさんの経験をさせてもらいました。ありがとう。
あなたが結婚したい人からプロポーズされた日の事をお母さんは覚えているよ。あなたがとても嬉しそうに話してくれたよね。
よかったね。あなたが一生この人と過ごしていきたい、と思える人と出会えたことがとても嬉しいです。
あなたがお母さんに今までくれた手紙を読み返すたびに、お母さんは暖かい気持ちになります。
「お母さんがいつも笑顔でいてくれたから私は頑張れた」の言葉は、お母さんにとって最高の褒め言葉です。
あなたがくれた手紙はいつまでもお母さんの宝物です。
そして、あなたと過ごした日々もお母さんの大切な宝物です。
4歳の頃のクリスマスの日の朝、枕元にクリスマスプレゼントが置いてあるのを見て「サンタさんが来た♪」と言って大喜びしていたこと。
小学5年生の時、弟の参観日にお母さんが仕事で行けなくて、あなたは自分の教室をこっそり抜け出して、弟の参観日を見に行ってくれていたこと。お母さんはあなたの行動にびっくりしたけど、そんなに優しい人に育ってくれてたんだととても嬉しかったよ。
バレンタインデーの前日には、友だちとのチョコレート交換をするからと言って、一緒に夜なべしてチョコレートを作ったよね。
中学の帰り道、友だちと別れてあなたが1人になった時に過呼吸になって道で倒れたことが何回かあったよね。あの時は何回も周りの人に助けてもらったよね。
お母さんより大きなあなたをおんぶが出来なくて、帰るのが大変だったよね。
あなたのお陰でお母さんは周りの人たちの優しさ、あなたの優しさ、家族の優しさを知りました。
いつかあなたもお母さんになる時が来るかもしれません。お母さんは遠くにいても、いつでもあなたの味方です。何かあればいつでもあなたの所に行くからね。
そのことを忘れないでいて欲しいな。
愛する娘へ
たくさんたくさん、ありがとう。
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